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Category: インド旅【2010】 (page 7 of 9)

【インド旅2010】バナラシ2日目 〜 ガンジス川で沐浴

バナラシ2日目の朝。寝苦しい夜だった。午前5時に起きて、ガンガーからの出る朝陽を見に行くことにしていた。が、ゲストハウスの玄関が閉まっていて外に出られない。外はまだ暗い。薄闇の中を、野良犬がうろうろしている。仕方ないからゲストハウスの屋上から朝焼けを見ることにした。

この夜明け前の三日月は、今まで見てきた中で一番美しいものだったかもしれない。

あいにく下層の雲が多くて日の出は見れないかと諦めていたのだけれども、ふとしたときに雲間から太陽がひょっこり姿を見せ、その輝きを余すことなく放っていた。日の出というのはいつどこで見てもいいものだ。日本ではそのとき午前9時。昼に向けてその陽射を強め始めたくらいの時間帯だ。そんな太陽を、僕らはここで静かに見ていたことになる。なんだか不思議な気分だ。

完全に明るくなってから、ガンジス川へと向かう。途中、路地でチャイを飲む。バナラシの人々は、朝起きてチャイを飲んでからガンジス川に沐浴にいくそうだ。

インドには野良犬がいっぱい。狂犬病には気をつけろと言われるけれども、ほとんどの犬がおとなしくて可愛い。

野良犬だけでなく、野良牛もあちこちにいる。カッコいい牛だ。日本の牛とは少し違う。
インドでは牛は神聖な生き物なんだ。

でも狭い路地を曲がってそこに牛がいて「モォオォォォォ」とか言われると本当にびっくりする。

歩いて15分くらいでガンガーの川岸についた。向こう岸から照らす太陽の光に包まれる。
朝焼けがガンジスの水面に映しだしたあの光景は、忘れられない。

ケダールガート付近で、パプーと再会する。昨夜、別れ際に「明日もし来てくれたら長澤まさみの写真とか見せるよ」って言ってくれて、今日も色々案内してもらえるとのことだった。昨夜はチップを渡そうとしたら、「いいよ、いらないよ、ダイジョウブダイジョウブ。」って断られて。いい人だった。インド人に遠慮されたのは人生で初めてだった(笑)

野良ヤギもいる。

ガートで沐浴する人々。

というわけで、沐浴しよう!

ここで沐浴せずに、何のためにバナラシに来たと言えるのだろうか。ここで何もせずに帰ったら、間違いなく後悔するだろう。たとえ赤痢になろうとも、毛穴から細菌が入り込んで高熱が出ようとも知った事ではない。「日本人には免疫が無いから、ガンジス川で沐浴すると80%以上の確率で赤痢になる」とも聞く。そんなの迷信だ!大丈夫でしょ。たぶん!

というわけで入ってきた。ガンジス川に抱かれてきた。女の子も、普通に入っていた。

めちゃめちゃ濁ってたけど、ひんやりして気持ちいい。水をよく見てみると、何か小さな塵のようなもの浮遊していて、それらが集まってこの濁りを形成しているようだ。たぶんこの水の成分を分析すると、あんなものやこんなものがうようよしているんだろうけど、いちいち気にしていられないじゃん。ここはインドなのだ。東京の高級ホテルの綺麗な屋内プールではないのだ。そういえば昨夜、この川に何か流れてたっけ。

ガンジス川で沐浴すると、現世のすべての悪事が浄化されるらしい。よかった。これで安心だ。冗談抜きで、沐浴後は本当に体がすっきりした気分になったのである。清々しい。

僕らが気持ちよさそうに泳いでいると、ボートの上から欧米人らグループが「Oh! クレイジー… 」とかぶつぶつ言いながら優雅に通り過ぎていく。いいさ、人目を気にして生きる必要なんて無いのさ。日本人もボートの上から「えっ!?ジャパニーズ?!」って尋ねてくる。あれ、ガンジス川って頻繁に外国人が沐浴体験したりすると思ってたんだけど、けっこう少数派らしい。光栄なことだ。

少年たちが、器用に前中しながら飛び込みダイビングをしていた。流石である。

俺も飛び込んでみた。カッコ悪い。

それから、パプーと彼の友達に、ケダールガートの寺院に連れていってもらう。
ガンガーで身を清めた者しか入れないとのこと。
シヴァ神、ガネーシャ、色々神様の話を聴いた。よく分からなかったけど、「祈り」はやっぱり凄かった。

その後のチャイはまた一段と美味しかった。

まだ午前9時だった。早起きすると一日が長い。パプーの従兄弟が経営しているゲストハウスに案内してもらう。

彼は、パプー以上に日本語が上手だった。漢字もほとんど読み書き出来た。日本にもたくさん友達がいるらしい。日本の大学で書かれたインドに関する研究論文を、華麗に読み上げていた。すごいね。

ここで例の「長澤まさみがインドに来た時の写真」を見せてもらった。あ、本物だ。
さらに塚本高史、志田未来ちゃんの写真も見せてもらった。志田未来ちゃんは天使みたいだった。
写真はWebには載せられないけど、彼らを尋ねたときは見せてもらってください。

ここでは完全にオーダーメイドで布からサリーやアリババなんかを作ってくれる。
完全にツーリスト向けの料金設定だから値段は高かったけど、綺麗な布をいろいろ見せてもらって楽しい時間を過ごすことができた。

夕方、同じゲストハウスに泊まっていた日本人の学さんと再会。彼は現在、世界一周中で、中国やネパールから回ってきて、次はエジプトに行くそうだ。同じ九州出身で、旅好きということで話も弾んだ。夜は、学さんと一緒にゲストハウスの向いにあるレストラン「SANDHYA GUEST HOUSE」でディナー。

ここのラッシーと、Spring Rollは本当に美味しかった。お薦め。

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【インド旅2010】バナラシ1日目。ガンジス川の祈り。

朝7時、列車はバナラシについた。終着駅ということで、ぞろぞろとインド人が電車から出ていく。今日のバナラシは快晴だ。電車の中では午前6時前に日の出と共に目が覚めたが、車窓からはずっとインドの田舎の風景がつづいていた。子供たちが列車に向かって手を振り、遠くの方ではおばちゃんが作物を刈り取っていて、数えきれないほどのたくさんの牛がのびのびと暮らしている。そんな景色がずっと続いていた。素敵な国だ。

バナラシについて列車を降りるとすぐにリクシャーワーラーのおやじに声をかけられた。

「どこまでいくんだい?ガンガー?50ルピーだよ」

「10ルピーで行ってくれないかな?」「3人で10ルピー?まさか。40ルピーだな」

「10ルピーで行ってほしい。他を探す。」

「まてまて、じゃあ30ルピーでどうだ。一人10ルピーずつ。」

「うーん。わかった、じゃあ俺が10ルピーを払う。でも彼女らはレディーだから安くしてほしい。10ルピー、5ルピー、5ルピーで合計20ルピー。どう?」

「OK、ついてこい」

インドにいると、価格交渉が楽しくなってくる。

このおやじ、リクシャーをめちゃめちゃ飛ばす。インド16日間の中で一番早いリクシャーだったかもしれない。途中で「サプライズだ」といって、爆音で音楽を流し始めた。そして踊りながら運転している。このおやじ、ノリノリだ。

途中でリクシャーを止めて、「プラス10ルピーで俺のおすすめの宿まで連れていくけど、どうだ?」と言ってくる。「とりあえず歩いて散歩しながら宿探すから、まだいいよ。」と答えるも、「なんで?10ルピーじゃん。グッドプライスじゃないか。泊まるところ見つけるの大変だから案内してやる!大丈夫だ俺を信頼しろ、俺は日本に友達がいっぱいいる。これを見ろ。」

そう言って見せてきたのは彼の携帯の画面。映像が再生され、日本人の青年が出てきて、その隣におやじ。

日本人の青年が、語り始める。「このおじさんと一緒にバナラシを観光できて、とてもいい思い出になりました。このおじさんは信頼できる、いい人です。」

なるほど、この青年が言うのだから間違いな・・・いや、明らかに棒読みである。そしてこのおやじの表情。こいつ・・・危険過ぎる!(笑)日本人の男性も、おどおどしながら話しているようにも見受けられる。なるほど最近のインドの騙しの観光産業は、こういう手口も使うのか・・・なんて大袈裟に考えたりもしたけど、現場ではけっこう面白くて爆笑してしまった。逆にこのおやじ面白いんじゃないかということで、「じゃあ案内してくれ」と宿まで案内してもらうことになった。

ところが、案内してもらった宿は本当にベターないいところだった。日本人の宿泊客もいて、すれ違ったときに「ここ割といいっすよ」って言ってくれた。なんといってもゲストハウスのご主人の奥さんが、日本人の女性なのだ。部屋を見て価格を交渉して、3人1部屋、2泊でトータル1000ルピーにしてもらった。一人1泊180ルピー(360円)くらいの計算だ。まぁまぁ妥当な額だし、エアコンもあるし、景色もいい。そうしてバナラシでの宿は「SANDHYA GUEST HOUSE」に決まった。「地球の歩き方」にはまだ載っていないけど、良質なゲストハウス。(たぶん来年以降の改訂版で載るであろう)スタッフも親切で面白いし、余計なチップを要求してきたりもしない。なにより日本人の奥さんが親切で、色々情報を教えてもらって助かった。たぶんリクシャーのおやじにはゲストハウスから幾らかの紹介料が払われるのであろう、この笑顔。結局このおやじは、いいオヤジだった。バナラシではこのオヤジを探すと楽しくなるかも知れない。

ゲストハウスは6階建てで、屋上にテラスのあるレストランがある。まだ朝9時だったから、ここで朝食をとることに。しばらくして日本人の男性2人がやってきた。仕事の休暇で来ている大ちゃんさんと、世界一周中の学さん。

ここに置いてあるハチミツは本当に美味しかった。

テラスは景色がよかった。一緒に朝ごはんを食べながら、旅の情報交換をする。彼らはお互い一人旅で、ここで出会ったそうだ。ガンジス川にも沐浴したらしい。いろいろ写真を見せてもらった。旅先での出会いは、本当に素敵な出会いになる。

食事を済ませて部屋で洗濯を済ませ、しばしの休憩をとる。部屋でゆっくりしていると、いつの間にかうとうとと眠ってしまい、15時近くまで昼寝をしていた。いい気持ちだ。

それからレストランi:daに向かう。

i:daは「地球の歩き方」にも載っている、日本人オーナー杉本さんのレストラン。杉本さんはインド人女性と結婚した方で、彼の著書『インドで「暮らす、働く、結婚する」』という本が今年2月に発売されたばかり。宿においてあったので少し読んでみたけど、けっこう売れているらしい。杉本さんにチラっと会って挨拶することもできた。

ここでは「TORITAMADON」を食べた。親子丼みたいなテイスト。久しぶりの日本の味。少し高かったけど(飲み物いれると200ルピー=400円くらい)美味しくて、お店の雰囲気もよかった。ただ停電してて空調がなく、すごく暑かったけど。インドではしばしば、宿泊費よりも食費のほうが上回ってしまうことがある。総じて言えば我々の旅のスタンスとしては、交通費や宿泊費は10ルピー単位でギリギリまで値切って抑えようとするが、食事に関してはまったく気にしないというのが言えただろう。まったく、日本人というものは食べることに関してはわがままなのである。

それからいよいよ母なる河、ガンジス川に向かう。i:daやゲストハウスから川岸まで直通で歩いて5分ほどで、僕がよく足を運ぶ事になったケダールガートまでは、歩いて15分くらいだ。

川沿いで野球をして遊ぶ子供たち(たまにボールがガンジス川に落ちて、それを取りにいく姿もあった)や、のんびりと日向ぼっこしている犬、散歩しているおじいさん、そしてガートで沐浴する人たち。ボートに乗って河を渡っている観光客が見られた。

「ボート乗りたいよね」ということを話していると、近くのおじさんが「ボート乗る?」って話しかけてくれた。僕らが日本人だと分かると、「ちょっと待って」と言って、もう一人の青年を連れてきた。

「初めまして、ボートに乗りたいんですか?一人1時間なら、150ルピーです。」

ここで、パプーさんと出会った。すごく上手な日本語を話す、彼。我々はボートに乗せてもらうことに。

「めっちゃ日本語うまいですね」と言うと、「ううん、ぜんぜんうまくないですよ。」と謙遜してくる。インド人が謙遜するのを初めて目撃した瞬間であった。

「大阪ですか?」「いえ東京です。正確には横浜です。」「ああ、横浜なんですね」

見た目はインド人の青年だけど、もう100%日本語が通じる。すごい。

彼の名前はパプー(PAPUU)

「ジャパニーズネームは、きょうたろうです。鶴田真由につけてもらいました。」

「え、鶴田真由って、あの女優の鶴田真由?」

「うん。長澤まさみも来たとき、写真撮りました。」

「え?」

「ガンジス川でバタラフライ」

なんとパプーは、長澤まさみや塚本高史、そして志田未来ちゃんが番組でインドロケを行ったときに、現地のコーディネートを行っている一人だった!なるほどー。日本語がうまいのも頷ける。

それからボートに乗っている間、パプーといろんな話をした。ガンジス川やシヴァ神について、いろいろなことを教えてもらった。ガートそれぞれの役割や、インドの歴史。彼を知っている人はたぶん他にもたくさんいるとおもう。僕らみたいに旅人として出会った日本人は200人以上いるとのこと。ケダールガート付近にいつもいるということなので、興味がある人はパプーを尋ねてみると、そのへんでは有名な人だから、すぐに見つかると思う!


ボートこぎもチャレンジ

パプーに、インディアンネームをつけてもらった。

マナミは「レーカ」、アイは「ジョーティ」、そして俺は「ラジャ」
ラジャは王様って意味らしい。大袈裟すぎる(笑)

母なる河、ガンガー。人々はこの河で沐浴をし、洗濯をし、歯を磨く。そして、死者の遺灰を流す。火葬できない子供や自殺した人の遺体は、そのまま河に流される。この河に還ることで、輪廻から脱する事ができるという。

陽が落ちる頃、ボートから10メートルほど離れたところをオレンジの布に囲まれた物体が、ゆらゆらと流されていた。「あれがボディーだよ」と、パプーは説明してくれた。オレンジの布が女性で、白が男性らしい。そう、ここはインドなのだ。心の普段使わない部分が震えて、不思議な感覚に陥った。

「祈りをこめて河に流すんだ。」

僕らはひとりひとり、祈りをこめて河に流した。が、すぐにそれは撃沈した。それが現実である。

ガンガーの祈り。インドの聖地、ベナレス。ヒンディー教徒は、人生で一度はこの地に訪れようとするという。ガンジス川は確かに汚いかもしれない。でも、その夜に見たガンジスの祈りは、本当に美しかった。

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