米国アカデミー賞公認、アジア最大の国際短編映画際 Short Shorts Film Festival & Asia 2010 の中のプログラム、Canon EOS HDムービーのワークショップに参加してきました。

「Canon EOSワークショップ」 詳細はこちら

■EOS MOVIEの現場 EOS 7Dで全編撮影した映画『音楽人』の舞台裏
出演:伊藤秀隆(監督)、ニホンマツアキヒコ(撮影)
全編に渡って2台のEOS 7Dで撮影した映画が現在公開中。その撮影の舞台裏、ワークフローについて解説していく。EOS MOVIEならではの撮影テクニックを公開。また監督自らがApple Final Cut Studioで編集したワークフローについても参考になる話題が満載。

全編Canon EOS 7Dで撮られた映画「音楽人」の舞台裏。デジタル一眼ムービーに興味ある人間にとって、とても参考になりましたので、たくさんメモっていました。

映画「音楽人」の舞台裏

撮影機材:Canon EOS 7D ×2台(のみ!)
使用レンズ:EF18-200mm、F3.5-5.6 IS EF28-135mm、 F3.5-5.6 IS USM
編集ソフト:Final Cut Pro + Color ほか

撮影工程

・Canon EOS 7Dの登場で、Canon EOS 5D MarkIIの動画撮影で不安だった部分の多くが解消された。
・誰でも気軽にクオリティの高い作品が撮れる → 誰よりも早く商業映画で先にやりたかった
・撮影は10日〜15日間。
・カメラマンのニホンマツさん、撮影の直前に初めてEOSデジタル一眼ムービーを使った。
・フォーカスがシビアで苦労した。フォローフォーカスは使用していない(驚き!)
・フォーカス確認用モニタを使用(ファインダ代わり)パナソニック7.9インチHDモニタ
 (予算の問題で1台はSDモニタを使用した)
ほとんど手持ちで撮影している。(ISつきのレンズを選んだ)
・基本スタイルは、2カメでの撮影。役者に配慮。引きと寄りで撮影。動きがなめらかになる。
・カットはあまりかけずに演技を続けてもらった。編集でどうにかする。
・使えるNGも存在する。
・レンズが少ない理由は、レンズを変えてる暇が勿体無かったから。
・ライティング、録音は通常の映画の撮影と同じ機材・技術で行った。

編集工程

・編集はFinal Cut Pro。伊藤監督自身が行った。
・H.264形式をすべてCompresserでPro Res422(HQ)に変換。変換作業に1週間かかった。Canonが最近出したフリーソフト「EOS MOVIE Plugin-E1 For Final Cut Pro」を使えばすぐに変換作業が可能。ProRes422(HQ)にしたことでレスポンスが格段に早くなる。データは5倍になるが画質は劣らない。
・音との同期作業だけで10日間くらいかかった。
・Colorで細かく色調整。「Colorがこんなに凄いソフトだとは思わなかったby伊藤監督)
・シーケンスは5つくらいに分けて編集
・Colorは難しいソフト。でもちゃんとやれば覚えられるし使いこなせば、凄いソフトになる。
・色の再現性が難しかった。例えばPCのモニタ、劇場、家庭用テレビでの差異をどう調整するかが大変だった。
・Colorを使うことで、色の調整が気軽になおせすぎて、毎日気になって仕方なかった。(by伊藤監督)
EOS MOVIEの登場で、自主制作の映画の世界が変わる。
・バックアップの重要性。データの管理。16GB/32GB CFカードを使用。
・CFカードのやり取りには、静電気防止のため直接人の手と手でやり取りせずに、布などに包んで渡した)

というわけで、以上が「音楽人」のメイキングトークでした。他にも細かいエッセンスなどたくさん聴くことができました。まだ映画そのものを見ていないので、6月下旬に神奈川の劇場で公開されたときに見に行ってみようと思います。いやぁ、それにしても特別な機材を装着せずに7Dだけで撮られた映画とは、凄いです。僕は5D MarkIIユーザーですが、デジタル一眼ムービーの時代に、希望が見えてきました。何か作品が作りたくなります。

また、後半はCanonが2010年6月18日に発売する、革新的な業務用カメラ「XF305」の使用レビューのプレゼンテーションがありました。4:2:2の50Mbps,MPEG2形式で、放送用カメラのMXF方式と同じです。CFカード2スロット、大口径Lレンズ搭載(18倍)数百万円の放送用カメラのクオリティを、小型カメラで実現。プレゼンテーターは電報児の田村氏。歌手の美元智衣さんの最新プロモーションビデオ「アイの島」がXF305と5D MarkIIで撮られていて、そのメイキングとAfter Effectsのテクニックを公開。XF305は80万円で個人が気軽に買えるものではありませんが、慶應大学SFCにそのうち導入されないかなぁと密かに願っています。

サプライズで美元智衣さんも壇上に登場。なんと観客席で僕の隣に座っている人でした(笑)
充実したイベントとなりました。

Short Short Film Festival 2010、お薦めです!

http://www.shortshorts.org/2010/