もっちブログ

鶴田浩之の個人ブログ | since 2005

Category: レビュー (page 13 of 15)

【書評】『お金が教えてくれること』(家入一真)- お金は稼ぎ方より、使い方のほうが大切。

家入一真さんの新刊『お金が教えてくれること』を読みました。
ちょうど僕の22歳の誕生日(2013/2/16)が発行日でした。

お金との上手な付き合い方

家入さんは22歳のときにpaperboy&co.を創業し、その後ジャスダック上場、最近では数店舗のカフェ経営や、CAMPFIREを運営するハイパーインターネッツ創業、現在はLivertyのプロデュースや炎上などで話題の人です。もともとはネット業界の中で有名な方だったと思いますが、ここ2〜3年で普通の大学生でも家入さんのことがファンだという人に、よく会います。僕も12歳の頃からペパボのヘビーユーザーだったため、3年ほど前に家入さんと会えたときは嬉しかったですし、その後いっしょにトークイベントで話す機会なども多くありました。そういう縁もあって、現在ではLabitの株主の一人です。

「お金」というものに対する自分の価値観や哲学というものは、なかなか人には言いにくいものです。僕自身、13歳で自分のビジネスを持ち始めてからは、おそらく同世代の中では誰よりも「お金」に対して、ひたすら考えを巡らせてきました。10代の頃から自分なりにコツコツと努力してきて、高校3年間で1000万円ほど売り上げ、貯めた資金をもとに本を読んだり海外に行ったり、株式の仕組みにも興味を持ちました。そして仲間が集まり、現在のLabit社の創業に至っています。20歳そこらで1億円弱の資金調達をして大企業と取引しながらビジネスをやっているということは、13歳頃の不登校だった自分からは想像も出来なかった人生の変化です。僕をの人生の分岐点となった考え方は、「使う人から創る人」になったということに加えて、「お金の動きに興味を持ち、投資の考え方を身につけた」という2つ目の要素が大きいと思います。一人のクリエイターから経営者になるために気持ちがシフト・チェンジしている今日この頃の僕にとって、本書は家入さんからの最良の誕生日プレゼントになりました。

本書では「今、僕はお金がありません」というページから始まっていて、いきなり不意打ちを食らいますが(笑)、月の飲み代が2000万円だったり、十数億円を2年間で使い果たしたエピソードは、おそらく彼しか書けないのではないでしょうか。

家入さんは実家が貧乏というコンプレックスが、人生に強烈につきまとっていると語られています。僕も近しい生い立ちだったため、共感できる点が多いのです(九州出身だし)。僕が2009年に上京し、慶應大学に入学したあとは、周りにいる友達があたりまえのように医者や経営者のご子息だったりして、家庭が裕福だという人がこんなにも沢山いるんだ、ということに驚いたことを記憶しています。「最初からお金があることが当たり前って、どんな感じだろう?」と、今でもときどき考えたりします。創業2年目の経営者の僕としては、本書で共感できる点は多く、これから起業したいと思っている後輩などに薦めたいと思います。

その買い物は、投資か浪費か

本書の中では、「なぜ人に投資をするのか」「経営者と雇用関係」「人脈はストックではなくフロー」「ものではなくストーリーを売る、買う」「会社の成長と、創業者の成長」「執着心の捨て方」などといったエピソードが、僕は参考になりました。

僕は、過去にやってきたこと、周囲から受けた影響、自分の性格や特性の把握をした上で、「行動基準」というものを言語化した上で行動しています。たとえば買い物における行動基準は、それが「投資か、浪費か」の視点を常に忘れないことです。投資というのは単に金融商品の話ではなくて、例えば誰かに会いに行くための交通費だったり時間だったり、自分自身を高められるものにお金を使うかどうか、という視点です。その基準を設けてから、本当に必要なものは何かを十分見極めるようになりました。

お金は、稼ぎ方よりも使い方のほうが難しい。

これは僕の持論なのですが、お金を稼ぐことよりも、有効にお金を使うことのほうが難しいと感じています。これまでの失敗の多くは、お金の使い方でした。僕はいつも、経営者や個人投資家の方と一緒に時間を過ごすときには、どういうお金の使い方をしているのかを観察したり、あるいは直接聞くようにしています。

お金の稼ぎ方はノウハウとして語られやすいですが、何に経営資源を投下することで最大のリターンが得られるかという方程式を見つけられるかが鍵になり、それを手取り足取り教えてくれる存在はなかなかありません。「ビジネスのことは就職して勉強できるから、起業なんて後からでいいよ」という同世代の意見もありますが、大企業のビジネスモデルで「お金を稼ぐポイント」は理解できても、どのように経営資源を投下すると効果的かという視点は、たぶん就職して2〜3年そこらでは、おそらく分からないと思います(普通の職種なら)。そういう意味で、早い段階で起業をして、お金の流れを理解できる経験というのは、僕にとっては今後の人生で大いに役立っています。

「これを押せば、何かが動き始めるという魔法のスイッチが世の中にはあってね、そのスイッチを買うために僕たちはお金を使うんだよ」

先日ヤフーのプレゼンの勉強会に参加したあと、楽天からYJキャピタルに移られた小澤さん(@ozarn)と、食事する機会があり、率直に「小澤さん、お金の使い方をおしえてください」と質問してみました。彼は昨年から本格的に始動したYahoo!Japanのベンチャーキャピタル事業の担当で、これからヤフーが持つ4000億円の資産を使って、どのようにインターネット業界を活性化させていくか、という役割を担っています。いま、お金の使い方ならこの人に聞くしかない!と思って、聞いてみました。

「死んだお金の使い方と、生きたお金の使い方って言うものがあるからねぇ。」「これを押せば、何かが動き始めるという魔法のスイッチが世の中にはあってね、そのスイッチを買うために僕たちはお金を使うんだよ。むやみにお金を使う前に、そのスイッチを見つけるんだ。」

という、印象的な言葉でした。

「お金を理由に、何かを諦めるということをしたくない」

僕は自身の生い立ちの影響もあって、お金を理由に夢を諦めることをしたくないし、将来的に自分に子供が出来たとき、そういう運命を背負わせたくないと思っています。お金がないことで悲しい思いをしたくないし、させたくありません。

お金とは上手に付き合えたらいいのにな、といつも思います。家入さんは貯金をしないそうですが、僕もあるときから貯金をしなくなりました。「お金は車のガソリンのようなもので、循環する」ものだと、本書の締めには書かれています。燃料が多いと、突き動かすエネルギーも大きくなる。僕もお金は「血のめぐり」であり、生き物だと思っています。だから、それ自身がゴールや目的になるなんてことはあり得ないし、武器にしないという選択肢もあり得ないんです。

僕はもっと10代に、お金のセンスを身につける機会を増やしたいと思っています。外国語などのグローバル教育と、プログラミングなど創造性を身につけるためのIT教育、そしてお金や金融のセンスを身につける教育、この3点セットの教育モデルが今後必要になってくると思います。僕が家入さんと初めに会った頃、教育に関心があるという共通点で意気投合をしていました。CAMPFIREやLivertyが出来るずっと前、「もっちくん、いつか一緒に学校をやろうよ!」と、彼がニコニコしながら語ってくれた話を、今でも忘れられません。


お金が教えてくれること – マイクロ起業で自由に生きる(家入一真)

書評『20代で捨てるべき50のこと』(四角大輔)- 20代は「捨てる」ことで、生き方を見極める

20代で捨てるべき50のこと

何かを捨てないと、前に進めない。
─ Steve Jobs

日本の書店に行くと、『20代でやっておくべき○○のこと』『20代で出会いたい○○の言葉』とか、そんなビジネス書ばかりが溢れている。競争の激しいこの社会で生き残るために、少しでも他人より優れた人間であろうとするために、みんな必死でいろんなものを集めている。僕も10代で仕事をはじめた頃は、そうだった。そして時々、違和感も覚えた。

多くの20代は、多くのものをかき集めてしまう。当然だ。新しい人間関係、新しいモノ、新しい価値観、新しい世界… (中略) たしかに吸収できるものは、吸収できるうちにした方がいいかもしれない。だが、なんでもかんでも大事にしすぎるのが問題だ。気づけば、いつの間にか、まさかとは思うが、人はいろんなものを捨てられなくなっているからだ。

そう語るのは、このブログにもたびたび登場している四角大輔氏(@4dsk)。僕にとって師であり、ソウルメイトであり、僕が創業したLabitの投資家・アドバイザーでもある。音楽アーティストのプロデューサーとして2000万枚のCDを売ったあと、念願のニュージーランドの湖畔に移住をして、東京とのデュアルライフを実現している。最近やたらとノマドという言葉が取り沙汰されているが、彼こそが十数年前からそれを実践していた人である。

そんな彼から、新著が出た。


自由であり続けるために – 20代で捨てるべき50のこと

「モノとお金」「ライフスタイル」などのテーマで、20代が捨てるべきことは何か、について語られている。本書の中には、僕が 今年の2月にニュージーランドの彼の自宅を訪問していた 2週間の間に語られた内容もあった。また、僕が撮影した写真を使っていただいている。

20代は捨て。今後の自分にプラスにならないと思ったものは潔く捨てればいい。捨てれば捨てるほど、視界と思考からノイズが取り除かれ、本当にやりたいことが明らかになる。

本書の一部を、ちょっとだけ紹介したい。

視界にあるノイズを捨てる

「いつか片づけよう」と保留したモノ、「あると便利かも」と保管しておいたモノ。それらが活躍したのはいつだろうか。大好きなもの以外は、すべてノイズだ。視界のノイズはあなたの空間だけでなく、生活も、頭の中も複雑にしていく。クリエイティブな時間をどれだけ持てるか、視界のノイズを見なおそう。

ToDoを捨てる

「本当にやらなければいけないこと」はどれくらい有るだろうか。Todoを減らしていく行為そのものが快感になっていないだろうか。本気でToDoリストと向きあってみれば、その大半は「別に捨ててもいい」ことだと気づく。残ったToDoは、集中力を研ぎ澄まし、想像力を持って最短時間で処理をすればいい。あなたの自由を奪う「やるべきこと」は自分の外側で勝手に増えていくが、人生を解放してくれる「やりたいこと」は自分の内側から生み出すしかない。Todoではなく、自分の小さな心の声に耳を傾けて、やりたいことは何かをリスト化しよう。

マルチタスク思考を捨てる

あれもやらなきゃ、これもやらなきゃと跳びまわってはいけない。多くの日本人は一つのことをやりながら、他のことを考えている。景色を見ずして写真を撮り、後で楽しもうと考えてはいけない。仕事が出来る人はどんな人だろうか? 仕事量を俯瞰する「鳥の目の自分」と、目の前のことに全力で向き合う「虫の目の自分」をはっきり使い分けよう。まずは目の前の行為に意識を集中させよう。

満腹を捨てる

満腹になると集中力が落ち、睡眠の質も悪くなる。多くの人は、ただ退屈や不安を紛らわせるために必要以上の食べ物を食べている。200万年という長い人類の歴史のなかで、”過食”の歴史はせいぜい100年くらいの話。まだ人間の身体の構造は、食べ過ぎに対応できていないのが事実である。寝る前の食べ過ぎ、現代人の24時間満腹状態というのが、あらゆる生活習慣病のもとにもなっている。空腹を待ってから、ゆっくり食べよう。

このほかにも「バランス感覚を捨てる」「人脈を捨てる」「質の悪い眠りを捨てる」「小銭入れを捨てる」「深夜を捨てる」といった生活に関することもある。古い価値観に対してバッサリと切り込んだ、20代への50のメッセージが込められています。

いろんなことが複雑な現代では、目の前のことに精一杯で、本当に大事なことは何かということを忘れてしまう。この本はそんな自分をハッと気づかせてくれると思う。

すべての20代に、この本を薦めたい。


自由であり続けるために – 20代で捨てるべき50のこと

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